All the time

いつもの日課のシミュレーションを終らせて、いつものように可愛すぎる恋人を探す。

そう、別段記すまでもないいつもの日々。

けれども9月19日の今日は少し違っていた。

 

「さーってと、今日の業務も終了したことだし、かわいーコイビトでも探しますか」

 

シミュレーションでイザークに勝ったこともあって俺は機嫌よく通路を歩く。

 

「ミゲル!ご機嫌じゃないか、どうしたんだ?」

「よぉ、ディアッカ。そう見える?」

「見える見える。さては姫さんになんかしてもらった?」

「キラ?」

「あれ、違うの?姫さんが張り切っていたからてっきり…」


張り切ってた…?
なんでだ?


「や、俺午後になってからキラに会ってないし」

「そーなの?」

「んで?」

「は?」

「キラは何に張りきってたんだ?」

「え…さぁ…?」

 

あきらかに何か知ってそうなディアッカ。

そういえば、キラはキラで午前中そわそわしていたような気がするし、

さっきのシミュレーションでも、いつもならアスランに絡むイザークが俺に絡んできたし…

それに、いつも俺の周りをちょろちょろしているラスティの姿が見えない。

 

「白状しないと、エロ本の隠し場所イザークにばらす」

「…っ!?ひきょーだぞっ!!」

「白状したら黙っててやるよ。」

「……っ」

 

悩んでる、悩んでる。

本当は隠し場所なんて知らないしな。……検討はつくけど…

……トドメさしとくか

 

「…キラにもばらすぞ」

「…………悪魔め…」

「何とでも言え。で?教えるのか、教えないのか?」

「オシエサセテイタダキマス…」

「最初から素直に言えばいいんだよ」

「……ヒントだけじゃだめか?ばらしたのが姫さんにばれたら嫌われる…」

「…しかたねぇな…」

 

本当は、ディアッカのやつがキラに嫌われようと俺の知ったことじゃない。

…好かれるのは困るけど…

 

「…邪悪なこと考えてるだろ」

「…失礼なやつだな。…否定はしないけど」

「ほらみろ。ヒントは、今日」

「は?今日?」

「おう。それ以外に言いようがない」

「…なんかあったか?」

「………本気?」

 

…なんか思いっきりバカにされた気がする。

 

「…俺に関係することで、何かあるわけか」

「そーゆーこと。」

「サンキュ」

「おう。」

 

ひらひらとディアッカに手を振って俺はまた歩き出す。

ディアッカに貰った今日というヒントもさっぱりわからないが、キラに会えれば

いいかと思いあんまり深く考えない。

 

食堂、格納庫、トレーニングルーム。

キラのいそうなところを探すけど全く会えない。

いつもなら、どこかで会えるのに。

 

「…灯台下暗しで俺の部屋とか…?」

 

その可能性もありで、俺は一度部屋に戻ってみることにした。

 

パスワード認証画面にOPENの文字。

ビンゴ!

 

「キラ〜?」

 

一応外から声をかける。

返事がないってことは、眠っているのかもしれない。

俺は少し遠慮がちに部屋に入る。

入ったと同時にクラッカーの音。

あんまりの大音量にしばらく固まってしまった。

 

「ミゲル〜?」

 

ふと気が付くと、心配そうに下から見上げるキラと目が合った。

 

「あ…?ああ、悪い…キラ、どうしたんだ?」

「今日はミゲルのお誕生日でしょ!一緒にお祝いしたくて待ってたの」

「そっか…」

 

ぎゅうっとキラを抱きしめた。

俺自身がすっかり忘れていた誕生日を覚えていてくれて、その上、一緒に祝ってくれる。

…嬉しかった。

 

「お誕生日おめでとう!!」

 

ふんわり笑ってキラからキスをくれる。それに少し面食らいながらも俺からもキスを返した。

 

「ありがとう、キラ」

 

テーブルの上にはささやかながらも料理が綺麗に並んでいる。

 

「これ、キラが?」

「ん。イザークには本を借りて、ラスティにミゲルの好きなもの聞いたんだよ」

 

…イザークが妙に絡んできた理由がわかった気がした。

それに、やけに目立つのはセロリ。

俺がこれをあまり好きじゃないのはラスティしか知らないから、俺へのあてつけだろう。

後で仕返しをしておこう。

 

「…キラのことも食べていいのか?」

「ばかっ!!」

 

 

 

 

 

 

少しだけ違ういつもの日。

こんな日も悪くないかもしれない。

キラの心がいつも以上に愛しくて、ドアにロックを掛けたらいつも以上に優しく抱きしめたい。

そう思った。